在籍確認に悪用されるアリバイ会社とは
こんにちはmoney-questionです。
皆さんは、「オリエント急行殺人事件」をご存知でしょうか。
アガサ・クリスティの有名なポアロシリーズの1作で、昨年、三谷幸喜によってテレビドラマ化もされました。
オリエント急行という列車内で起こった殺人事件が題材で、容疑者は乗客13人。
ポワロは1人1人にアリバイを聞いて、犯人は誰なのかを探っていくのですが・・・
実はこの事件、容疑者の13人全員が犯人なんですね。
13人がお互いにアリバイを作り合っていたわけです。
ローンを組んだりクレジットカードを作る際にも、利用者のアリバイ作りを手伝ってくれる企業があること、皆さんはご存知ですか?
その名もまさにアリバイ会社です。
アリバイ会社とは、本来職業のことで恋人や家族に嘘をついている人などが利用する会社です。
アリバイ会社は独自にペーパーカンパニーをいくつか持っていて、職業を偽りたい人にそのペーパーカンパニーを提供するのです。
利用者は、ペーパーカンパニーの社員に加えてもらう代わりに、登録料をアリバイ会社に支払います。
利用者の要望があれば、アリバイ会社は社員証や給与明細の発行も行います。
すごく違法っぽい雰囲気のあるこの行為ですが、罪には問われません。
社員証や給与明細は、会社の私文書です。
公文書を偽装した場合には、虚偽公文書作成罪として法律で罰せられるのですが、私文書にはそのような法律がありません。
なので嘘っぱちの社員証や給与明細を作っても、違法にはあたらないのです。
恋人や家族を騙すことは、倫理や道徳的にはいかがなものかと思いますが、法的には罪にならないのですね。
今回取り上げたいのは、このアリバイ会社のペーパーカンパニーを利用して、ローンの審査やクレジットカードの審査を切り抜けようという人のことです。
そのような人は、実際の職業が歩合制で給与が安定していないことや、水商売・露天商などで審査に印象が悪いといった理由で、このアリバイ会社を悪用します。
しかし、金融機関との契約は、恋人や家族間の個人的なやりとりではなく、金銭が絡んでくる問題です。
もちろんこの場合は、詐欺罪に問われ、最悪の場合懲役10年に化せられます。
アリバイ会社の利用自体は違法ではありませんが、アリバイ会社が発行した私文書を使
って金融機関を騙すことは違法なんですね。
最近では、金融機関以外にも、このアリバイ会社を利用した「なりすまし」による問題が多発しているようで、利用者や会社が逮捕される案件も出てきています。
アリバイ会社の他にも、在籍確認を避けたいがために「在籍確認なし」という違法貸金業者でローンを組もうとする方もいるようですが、違法行為に手を染めるのは恐ろしいことです。
在籍確認の電話って、疑心暗鬼になってしまって「周囲の人にバレてやしないだろうか…」と不安に思いがちですが、アリバイ会社を利用して切り抜けようという考えだけは、決して持ってはいけません。
在籍確認はきちんと心積もりして乗り切ればそう怖いものではないので、まずは安全な金融機関で審査を受けるところから初めてみるほうが絶対に良いです。
一度しかない人生ですから、違法行為を犯す前に、先のことまでよくよく考えましょう。